槍ヶ岳 北鎌尾根~焼岳縦走 3日目 南岳小屋停滞

放置し過ぎて今までのあらすじを忘れてしまったという方は、お手数ですがはじめっからどうぞ:






「んなもん、読んでられっか!」という方は、こちらを:
<今までのあらすじ>
念願の北鎌尾根をなんとか抜けて南岳小屋へ到達した、てる。しかし、天気予報を見ると翌日は雨風。軽装のシェルター1枚でこのピンチを乗り切れるのか?! てるの運命、果たしていかに…
あと、この記録だけでなく、同じようにほったらかしにしておいた「ツェルトビバーク訓練(2)」も昨日アップしておいたので、よかったらご覧になってください…
では、本編、START!!!
雨だけでなく、風も強くなっていた。シェルターがわさわさと揺れる。そのため、壁についた水滴がすべて降ってきて、シェルターの中も雨降り状態。シュラフカバーの足元はびしょびしょになった。
風雨がひどかったら日中だけ小屋の食堂にいさせてもらって、夜だけシェルターに帰って寝ようと考えていたが、あまりにも風が強いので、小屋から戻ったらシェルターが飛ばされている可能性大。それにこんなにシュラフカバーが濡れてしまうのなら、そのうち浸水してシュラフまで濡れてしまうかも。なにしろカバーは7年ものなのだから。
と、頭の中で一人作戦会議をした結果、本日は小屋泊り決定! でも、シェルターの耐水・耐風テストをしたいので、10時ぐらいまではいてやるか。と、風と雨の音を聞きながら、風に揺られながら、2時間ほど耐えていた。こんなかんじ↓

9:30頃には、シェルターの床に直径5~10cmほどの水たまりが数箇所できていた。それを見ると耐風・耐水テストを続けようという気持ちはきれいさっぱりなくなり、どうせ小屋に泊まるなら一刻も早く小屋に逃げ込んで小屋代9,000円をめいいっぱい使った方がトク!と、10時ちょっと前にさかさかと撤収作業を始めた。
パッキングが終わって外に出てシェルターを回収してみると、びっくり。なんとシェルターは水たまりの上に立っていた。まさかこんな池の中だったとは。雨が本降りになってから5時間以上は経っているので、シェルターの接地部分の生地はけっこう濡れに強いのかも?

この水溜りの中にシェルターが立っていた。
雨風があまりにもひどいのでシェルターをたたみもせずビニール袋につっこんで小屋に駆け込んだ。ああ~っ、風も雨もないところってなんてステキなんだろう。
受付をすませた後、乾燥室に濡れものを干しに行った。幸い泊り客は少ないらしく乾燥室はガラガラだったので、シェルターやシュラフーカバーも遠慮がちに広げさせてもらった。
それから食堂で牛丼を頼んだ。予定の山行日数は4泊5日であるにもかかわらず、軽量化のため食糧は2泊3日分しか持ってこなかったので、小屋利用のときは積極的に食堂を使わなければ。それにどうせ本日は停滞だと思っていたので、前夜の夕食は行動食の残りのどら焼きぐらいしか食べていなかったから、おなかがグーグー鳴っていた。

南岳小屋の牛丼。
下界で食べたら決しておいしいとは思われないような味の牛丼も(たぶんレトルト)、おなかがへっていて、雨風にしばらく打たれた後に食べると、ものすごくおいしく感じられ、思わずホロリとなった。
牛丼を食べた後は、部屋の暖かいストーブの前に陣取ってゴロゴロ。外を見ると、風と雨はますます強くなって、まさに暴風雨だった。

外の風と雨はますます強くなっていった。

でも、小屋の中だし、ストーブもあるし。いやー、極楽、極楽。
小屋泊まりってなんて素敵なんだろう。雨も風もあたらないし、トイレも建物の中にあるし、上げ前据え膳だし、荷物も軽くてすむし。金持ちだったら絶対小屋に泊りまくるだろうな。でも、いびきの大合唱はいやだけど。あ、個室とればいいのか。
小屋の談話室にはたくさん漫画が置いてあった。続きを読んでいなかった 『岳』 も最新刊まであったし、読んでみたかった 『イカロスの山』 も全巻揃っていたので、まったく退屈しなかった。岳はあいかわらずお涙頂戴のストーリーだし、イカロスは設定は面白いんだけど、絵がいまいちだし、オバチャンには恋愛話が青臭くてちゃんちゃらおかしいね。でも、両方とも読んだら、不覚にもうるうる来ちゃったけど(笑

こう天気が悪いと、小屋の中は天国でっす。
夕食は上品なご夫婦、単独男性x2とテーブルが一緒だった。このうちご夫婦と単独男性のうち1人は連泊らしい。こう天気がひどければしょうがないだろう。夕食後もこのテーブルで山の話でおおいに盛り上がって、楽しいひと時を過ごさせていただいた。

夕食。おかずの量は少ないが、ご飯・味噌汁はおかわり自由。
もちろん両方おかわりさせていただきました。
ふと気付いたのだが、前も南岳小屋で停滞したことがあったなあ。ひょっとすると自分には、南岳小屋って鬼門?(笑
そうそう、この日は稜線の最大瞬間風速は20~25mぐらいで、南岳山頂には雪がちょびっと積もったらしい。やっぱ小屋泊にしてよかった~
「槍ヶ岳 北鎌尾根~焼岳縦走 4日目(1) 南岳小屋~北穂高小屋」へ続く。
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COMMENT
シェルターの中の太った「にょろにょろさん」の絵、いいねえ。雨風の凄さが伝わってきます。
わたしも小屋好きですが、財政困難につき、大名山行はできません、そんなとき、シェルターの中でこれで1泊9000円、浮いたし。。。とかお小遣い帳広げることにします。気力、体力で今後もがんばるわ。

連続コメ、ありがとうございます。
家で作る牛丼はおいしいですよね。
私は吉○家とかああいう安いとこの牛丼ははっきり言ってまずくて食べられません。
> 太った「にょろにょろさん」
にょろにょろに見えるのか…(苦笑
これはシュラフの中に入ってるのです。
寒いし濡れるからシュラフから出れなくて。
お互い還暦過ぎてもテント泊で行きましょう

前に話した、うちの山岳会の65過ぎの
いまだに単独でもテント泊ですよ。
ああいう大人の女になりたい…
なーんだ、てるさんお山に水遊びに行ったの!
シェルター床の耐水実験出来て良かったですね。
ホント、お天気悪いと小屋で良かったと思います。
高いけどねえ・・。
ツェルトは、9mm以上の補助ロープかザイルを長ーくはって、直列状態に2張り、ぶら下げる様に張ってました。 でもあれって、余程張るのに良い条件でないと使えない方法じゃんじゃないかなァと思うのですが・・。
直接ツェルトに繋げていたのは、私が持っていったのは3mm補助ロープ。 メインロープはどっちか判りません。 補助ロープの方が伸びないけど、ガイドさんだからザイルかもね。
記事に関係無い事、失礼致しました。
で、大キレット、ジャンダルムは年内に通過できるかな?
でも、まったくお金の心配が無い身分になったとしても、やぱ、天泊やめられませんね
>私は吉○家とかああいう安いとこの牛丼ははっきり言ってまずくて食べられません。
ええ~ボクにはごちそうなのに。。。
初めて食べたときの感動といったら・・・
子供の頃、仙台に行った時は、必ず牛丼を食べさせてもらってた・・・って、いつの時代だ笑

もうすっかり寒中水泳しちゃいました。
って、まだ冬じゃなかったけど。
気温的には冬だった…。
そうですか、9mm。
私はこの前6mmで張ってみたら、伸びちゃって。
まあ、私の張り方が悪いんでしょうけど。
ガイドさんはきっと伸びないようにきちんと張れるでしょうから。
大キレット内や、西穂~奥穂間でビバークはしたくないのでがんばります。
なにしろテントがお粗末ですからね。

そうか、吉野家とかの牛丼が御馳走なのか。
じゃ、そんな御馳走をたここに今度おごってあげよう。
そのかわり私が御馳走だと思うものをおごって。
私が御馳走だと思うものは、フレンチフルコース、
または神戸牛や飛騨牛とか高級牛肉のしゃぶしゃぶ・すき焼き・ステーキかな~
うふふ、楽しみ♪
南岳小屋、きれいですね。行ってみたい小屋のひとつです。

はい、年内には下山しようと思ってます。
3,000m地点は、夜になると9月でも氷点下になるので、寒くて(笑
とりあえず、穂高岳山荘までの記録の下書きは書き終わりました。
南岳小屋は、あまり人が来ないし、穴場かもしれません。
やっぱ槍とか北穂、穂高の小屋に行っちゃうみたいですよ。

安全で暖かい小屋の中から荒れ狂った外を眺めるのは楽しかったです。
てる (08/25)
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KMD (12/24)
てる (11/25)