槍ヶ岳 北鎌尾根~焼岳縦走 2日目(1) P9手前~独標
つい明るくなってから起きてしまった。
本当は日の出とともに歩きたかったのに。
夜はいまいちよく眠れなかった。テン場が微妙に傾斜していて、背中に岩があたって寝心地が悪かったので。山で寝不足なのはデフォルトなので、気にせず起き出して朝食の支度。昨夜と同じくまた袋飯なので、お湯を沸かすだけ。お湯を沸かしてご飯を戻す間、シュラフとテントを畳み、パッキングをする。それからできあがったにんにく臭い袋飯を食べて、出発。6時を過ぎてしまった。

今日の核心はこちらの独標から始まる。
(このエントリは 「槍ヶ岳 北鎌尾根~焼岳縦走 1日目(2) 水俣乗越~P9手前」 からの続きです)


テン場から天狗の腰掛(P9)までは傾斜のきつい木登り。北鎌のコルから独標のコルまでは踏跡ばっちりでルーファイの必要はまったくないので、まだ完全に覚めきってない頭にはちょうどよかった。さらに木登りなので、ホールド・スタンス共にしっかりしているので、ウォーミングアップには最適だった。やっぱりテン場をP9手前にしたのは正解。
が、天気はいまいちよくなく、空はどんより曇っていた。やっぱり一昨日に来て、昨日のうちに北鎌を登ればよかったか…

曇天の下の鷲羽と水晶。

そして双六。いずれも8月に縦走した山々。
P9の天狗の腰掛に着くと、P10の独標が目の前に広がる。独標は、千丈沢側は緑が生い茂っているが、天上沢側は対照的に岩肌がむき出している。もちろんこのピークは直登はしない。いつか信頼できるパートナーが見つかったら直登するかな。

独標の岩肌。
で、一応お約束なんで、独標の有名なトラバースを掲載:

基部に緑のフィックスロープが張ってあるトラバースがある大岩。

フィックスのアップ。
ってか、前も通ったときに思ったんだけど、、、なんでここにわざわざフィックスを?ってかんじ。ガバもあるし、とくに怖くもないし、、、これよりももっともっと切れ落ちた怖いトラバースがあるから、張るならそっちに張ればってかんじなんだけど。たぶん死亡事故とかあったんだろうな…
このフィックスの後も核心と言われるオーバーハングがあるが、自分的には 「それってどこだっけ?」 ってかんじだった。前回も今回もその感想は変わらない。むしろその後のトラバースの方がもっとイヤ。手足はしっかりしてるけど、すっぱり切れ落ちてていて、高度感があるとこなので。まあ、人によって怖いところは違うものか…

核心のトラバース2つをクリアーし、いよいよ独標への登り。
その後はザレた斜面のトラバースを通過し、頂上直下?のチムニーへ。スリングが下がっていた。しかし、このスリングの支点のハーケンはグラグラなので、使わない方がいいと思う。ってか、ここにかかっている赤いスリング、昔、横尾尾根で失くしたスリングにそっくり… 誰か拾って、ここにかけたのか?(笑

独標直下チムニー。スリングがかかってるけどハーケンはぐらぐら。
じつは今回、ガイドブックなどをコピーした資料はまったく持ってきていなかった。1/25000の地図だけ。資料を見ながら登るなんてとんでもない。そんなの自分でルートファインディングして登ったことにならない。
というのは嘘で、単に持ってくるのを忘れただけ(爆) 行きのバスの中で気付いて青くなったのだが、あとの祭り。でも、自分が持っている資料は、『チャレンジ!アルパインクライミング』 のみ。残念ながらこの本の無雪期の北鎌に関する説明は全然使えない。だから、なくてもいっかってことで、他のルートに変更することもなく予定どおり北鎌にやってきたのだった。
資料がなかったので、純粋に自分のルートファインディング力だけを頼りに登ることになり、結果、独標も普通の人が登らないようなところから登った気がする。チムニーを通過して、岩場をトラバースした後、どうもルートがわからなくなり、適当に草付き + もろい岩の部分を稜線に向けて直上して行った。もちろん、足場が崩れて落ちたら下まで止まらずまっさかさまのところ。でも北鎌ってそんなとこばっか、っていうかそんなとこしかないし。
ってなわけで、独標ピークに直接出ることができず、かなり穂先よりの稜線に出てしまったので、ピークを踏むためにわざわざ戻った(爆) 前に来たときは、独標直下はけっこう苦労して登ったので、今回無理そうだったら独標は巻こうかぐらいに考えていたので、ここに立てたときは正直うれしかった。

P10である独標 (2,899m) からの穂先。
2007年に来たときは、独標ピークに着いたとき、今まで見えなかった槍の頂上が見えたので、ものすごく感激したものだった。今回は2度目なので、そのときのように全く純粋な気持ちで山頂を見ることはできなかったが、それでも踏めないかもしれないと思ったピークから見る穂先は感慨深いものがあった。
「槍ヶ岳 北鎌尾根~焼岳縦走 2日目(2) 独標~穂先」 へ続く。
自分メモ
所要時間
天狗の腰掛(P9)手前テン場6:07 独標のコル7:06 トラバース緑のロープ・オーバーハング通過 偵察7:25~31 独標7:55~8:00
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COMMENT
文章で見ると、やはり恐ろしいルートですよね。
って、輝ちゃん的には初心者ルートだったけ?
でもこのレポ読んでいて、「よくぞご無事で!」って感じです。
だから、前回hiroさんと見たこの稜線は感慨深いものがあったでしょうね。
続きも頑張ってね!!

あれ?手に汗握る?そお?
そんな風に書いてるつもりはないんだけど、おかしいなぁ…(笑
北鎌は「わたし的に」初心者ルートなんじゃなくて、
「アルパインクライミング的に」初心者ルートなんです。
えと、無雪期ね。残雪期はもうちょいレベル上がるかな。
続きは絶好調で書いてます。
これを終わらせないと、あの槍のレポが書けないので。
でも、このレポ長い…
独標からの槍の穂先も綺麗だなあ。
レポ淡々と書かれてるけど、落石の危険が常にあったり、失敗の許されない歩きなんでしょ?
レポでしか見られない風景だけに次も楽しみ(^^)
つうかあ、休みっていいね(笑)
のんびりしてるよ~
外晴れてるし(爆)
そぉ?私は読んでいても怖くて。。。。(笑
高所恐怖症の私には、やはり“手に汗握る”って感じです。
*ふうろさん。
お休みっていいねぇ。
木曽は台風が過ぎ去り、青空が見えてきましたよ。
太陽も顔出してきたよ。

いや、私も高所恐怖症ですが…(笑
ふうろさんは今頃お買いものに出かけたかな?
こちらも太陽が出てきました。
風はまだものすごいけど。

ふうろさんなら体力あるし、力もあるし、身長も私よりあるから、
ちょっと訓練すれば北鎌はガイド山行とかで行けると思います。
まあ、でもわたし的には、ガイドとか熟練リーダーにつれていってもらうより、
自分でルートファインディングしていったほうが楽しめるし、達成感も全然違うので、
いつかは独りか同レベルの人達と行くのをおすすめします。
失敗の許されない歩きは一般登山道でも同じかな(笑
こちらも晴れました。
風はまだまだ暴風クラスだけど。
でも、そろそろ行かないとだな。
私にもいつか「北鎌行こう!」と思える日がくるのだろうか・・・・。
あ、その前に奥穂~西穂でしょうね。
こっちも晴れてるけど風は強いねえ。

> 私にもいつか「北鎌行こう!」と思える日がくるのだろうか・・・・。
そうね、『風雪のビヴァーク』とか読んだら行きたくなるかも?
> あ、その前に奥穂~西穂でしょうね。
はじめて行くなら西穂~奥穂の方がおすすめです。
西穂~奥穂と北鎌は全然違うタイプだから、
もし北鎌トレをしたいなら、
どちらかというと北方稜線がいいと思います。
てる (08/25)
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