槍ヶ岳 北鎌尾根~焼岳縦走 1日目(2) 水俣乗越~P9手前

水俣乗越を見上げる。道がないように見えるけどここを下りてきた。
雪渓はすっかりなくなっているのかと思っていたら、まだ残っていた。上を歩くことはできないので、際を歩く。非常に歩きにくい。

雪渓がけっこう残っているので歩きにくかった。
千丈沢にだいぶ下りたところで槍の穂先が見えた。
明日無事にあそこに登れたら、と思いながらしばし見惚れる。

千丈沢から見る槍の穂先。
(このエントリは 「槍ヶ岳 北鎌尾根~焼岳縦走 1日目(1) 上高地~水俣乗越」 からの続きです)
間ノ沢出合で水が出ているのを発見。間ノ沢出合に関しては下の地図参照。北鎌沢が涸れていると困るので、ここでプラティパス2.5L満タンに水をつめ、再びカラになりかかっていた500mlペットボトルにもつめた。以前に来たときは間ノ沢から北鎌沢出合のけっこう近くまで水が出ていたけど、今回はこの出合付近だけでしか水は出ていなかった。

北鎌尾根には北鎌沢から入る。北鎌沢の位置は上の地図参照。出合にはケルンがあるというが、ケルンなんて自然状況によって崩れるし、絶対あるとは限らない。なもんで、間ノ沢からはずっと地図とにらめっこしながら歩いた。
ふと、前方にケルンがあるのが見えた。沢もあるし、これが北鎌沢か? でも、いまいちいいテン場がない。前に来たときは3張りぐらい張れる平らなところにあったのに。でもたぶんこれだろう。と思って、しばし大休憩をとることにした。

北鎌沢出合。画像中央左下にケルンがあった。
梅おにぎりを食べながら地図を見て、100%ここが北鎌沢出合かどうか確認。100%の確信は持てなかったが、とりあえず登ってみて間違ってたら下りればいいかと思った。時間もまだまだあるし。
ってことで取りつこうとすると、貧乏沢の方から4人ぐらいの人が。ああ、せっかく独りっきりの北鎌尾根を楽しもうと思ったのに、人が来てしまうとは。しかし、その人達はこっちに向かって来るわけでもなし、テントを張るわけでもなし。何か探してるようでずっとうろうろしている。なんなんだろう?
しばらく見ていたが、そのうちいなくなってしまったので、登ることにする。抜かされて落石されるのもいやだし。っていうか、マジであの人達はなんだったのだろう? この千丈沢にいるのなら、自分がいる北鎌沢出合に絶対来るはずなのに、戻って行ってしまうとは。ま、まさか、この世の人達ではないのでは…
不審に思いつつも北鎌沢に取りついた。左俣は水量が多く、じゃんじゃか水が出てた。間ノ沢じゃなく、ここで水を汲んでもよかったかな、と思った。右俣に入ると水はほとんど出てなかった。
右俣は数箇所を除けば、自分的には階段。なのでひたすら高度を稼ぐ。2007年に来たときと違って軽量化しているので、非常にラクに登れた。
この時点でのザックの重量は、家に出るとき計測した7.1kg+デジカメ+飲料水3Lで10.3kgぐらい。2007年は10月ってこともあって、防寒着もたくさん持って行ったような気がするから、14kgぐらいあったのではないだろうか。さらに今より体重も2~3kg重かったし。だから今回は前回に比べて自分の体重も含めて6~7kgの軽量化に成功しているはず。
しばらく行くと2007年にチェックしておいた核心が現れた。と言っても普通の人には核心ではないんだけど、自分的に。ちょっとした岩場なのだが、非力な自分は2007年にはテント装備を担いで乗り越せなかったのだ。今回は軽量化しているし、日々筋トレもしてるからなんとかなるか。

北鎌沢右俣 自分的核心その1。
と思ったが、なんともならなかった(笑) 少しかぶり気味でいいホールドとスタンスもないので、ザック+自分の重さを引き上げるのは自分には無理だった。しょうがないので先にザックを岩に乗せ、それから空身で自分も這い上がることにした。ザックを岩に乗せるときも一苦労。何しろ10kgを越えると電車の網棚に荷物を上げるのもきついのだから。12kgだと上がらないし。今回のザックは微妙に10kgになっているのでギリギリ。頭と両腕を使ってなんとか岩に乗せ、それから空身で自分も這い上がった。2007年のときとまったく一緒。ああ、成長してないなぁ…(笑
これで核心1つクリアー。気がラクになって、どんどん高度を上げて行く。下部は傾斜は緩かったけど、上部は稜線に近づくにつれ、どんどん傾斜がきつくなってきた。

北鎌沢をどんどん登りつめて振り返ったとこ。出合がはるか下に。
稜線に近づくにつれ、途中いくつか沢が分かれるが、岩が大きい方大きい方に行けばラクに直下に出れる。いろいろな記録では、右俣に入ってから間違ってへんなところに出てロープを出して北鎌のコルでないところに出てしまうというケースがけっこうあるが、どうしてそんな風にはまってしまうのか自分にはまったく理解できない。こんなにきれいにルートがついているのに。
でも、北鎌のコルの直下の登りは、自分的には核心。今までは階段状の岩だったのが、ここだけザレているのだ。ザレが怖くて、手がかりがある草付きの部分に入りこむと、傾斜がきつくなり、ドツボにはまる。前に来たときはそうだった。
なもんで、今回はドツボにはまらないように、慎重にザレの部分を登ることにする。いや、でもザレはやっぱ怖い。滑る。結局、ザレは恐いので、もろい岩の上を通過することにした。どっちが恐くて危険かというツッコミはなしで。でも、ここも草付きはあまりしっかりしてないし、ホールドやスタンスの岩はいつ崩れるかわかんないしで、めちゃ恐かった。ってか、ここも死亡事故発生地点らしいし…
そんな怖い思いをしてようやく北鎌のコルに出た。あたりが暗くなる前に独標のコルに着けそうな時間だったが、翌日、ウォーミングアップもせずに独標の核心にすぐに取りつくのはいやなので、独標から少し離れたこの北鎌のコルに幕営しようと思っていた。しかし、下にいた4人パーティが上がってきて、テントをぴったりと横に張られたらいやなので、もうちょっと先に行くことにした。その前に大休憩で水分とエネルギー補給。なにしろ北鎌沢は落石が恐いので、きちんと止まって休憩することなんてできなかったのだから。
休憩をとった後、30分ほど歩くと、P9(天狗の腰掛)手前にソロテントなら張れそうな場所があったので、そこを本日の幕営地とすることに決めた。
そのテン場からは、8月末に登った双六・鷲羽、そして反対側には常念・大天井などが見えて素晴らしかった。誰もいない北鎌尾根にテントを張って景色を楽しめるなんて、最高の贅沢。これに酒、いやせめてココアとかあればもっといいのに。しかし、そんなもんは軽量化のために持ってこれなかった。ああ、寂しい…

テントサイト。大天井、そして反対側の双六などの稜線がきれいに見えた。
テントを張り終わると夕飯の支度に取りかかった。今回の火器は、軽量化のためちょっと工夫した。いつも使っているガスヘッド+ガス缶をやめ、エスビットの固形燃料を使ってみることにしたのだった。

固形燃料と五徳。五徳は自作。
五徳は薄いアルミ板をはさみで切って作った。重量はたったの4g。じつは、固形燃料でお湯を沸かすテストは事前にしていたのだが、五徳のはしてなかった(爆) ぶっつけ本番だったが、使ってみたところ、火が消えることもなく200mlのお湯がちゃんと沸いた。

カップを乗せてふたをしてお湯を沸かす。
カップはたった39gのsnowpeakのワッパーカップ。軽いし、柄が折りたためるのが気に入っている。ふたはただのアルミホイル。五徳で使ったアルミ板を切って作ってもよかったんだけど、ホイルの方が軽いかと思って。重さは1g。カップ39g+五徳4g+ふた1gで44g。これに200mlのお湯を7回沸かせる分の固形燃料とマッチ&ライターを合わせた火器セットはたった99gだった。

200mlのお湯が沸いたとこ。
軽量化のためには火器を持たないという選択もあると言えばあるのだが、8月末に双六~雲ノ平を縦走してみてやっぱり暖かいものが欲しいと思った。が、ガスセットを持っていくと、ガス缶だけで300g以上もする。小さいガス缶を持って行ったとしてもたぶん缶だけで200g以上だろう。固形燃料だと200mlのお湯を沸かすのに約5gだけあれば十分だし、燃えた後はなくなってしまうので、使えば使うほど軽くなっていく。そんなわけで今回固形燃料を使ってみることにしたのだった。
食糧も初のトライの袋飯。ウルトラライトな人々の間では一般的な山飯である。ZIPLOCKに混ぜ物が入ったアルファ米を入れ、その中に固形燃料で沸かしたお湯を入れ、防寒着をまくっておなかに入れて20分弱。体も温まると同時にホカホカの飯ができあがる。このZIPLOCKにスプーンをつっこんでじかに食べるのだ。

今回初トライの袋飯。トリの餌ではない(笑
袋飯の中身は、乾燥わかめ、ひじき、お茶漬けor雑穀スープ。それから体を内部から暖めるトウガラシとにんにくスライスを入れた。さらに天かすと、99円SHOPに売っていた魚のけずりぶしみたいなのを入れた。これらは高カロリーなので。
この混ぜ飯は家で味見してこなかったので、さぞかしまずいものが出来上がるのだろうと思っていたら、意外とおいしかった。でも、にんにくスライスは超辛く、涙を流しながら食べた(笑
こうして独りっきりの北鎌尾根の夜は更けていったのであった…
「槍ヶ岳 北鎌尾根~焼岳縦走 2日目(1) P9手前~独標」 に続く。
自分メモ
所要時間
上高地6:02 明神6:42~46(衣服調整・水分補給) 徳沢7:25~35(トイレ・水分補給) 横尾8:20~30(トイレ・水分/エネルギー補給) 槍沢ロッヂ9:30~45(水分/エネルギー補給) ババ平キャンプ場10:04~07? 大曲り10:22~35?(水分補給/水汲み) 水俣乗越11:20~30
急斜面抜けた雪渓のあたり12:06 間ノ沢出合13:03~15(水分/エネルギー補給・水汲み) 北鎌沢出合13:40~55(水分/エネルギー補給) 北鎌のコル16:06~15(水分/エネルギー補給) 天狗の腰掛(P9)手前テン場16:40?
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COMMENT
まだレポが途中なので続きを楽しみにしてます!
僕らはこの火曜から西穂に行く予定でしたが残念ながら天候が悪そうなので中止にしました・・・・・(+o+)
では、又遊びに来ます(^_-)-☆

固形燃料はウルトラライトな方々のblogなどを見てずっと使えるなと思ってたんです。
今回はじめて実行しました。
時期などを考慮すれば、十分使えることがわかったので、
今後の山行でもどんどん使って行こうと思ってます。
もうどんどん老化が進んで重いものが担げなくなっていく年齢なので(笑

今週は台風みたいで残念でしたね。
でも、三連休は台風一過で晴れるみたいですよ。
食事にも、装備にも工夫をされていったのですね。
テントサイト、、
ちゃんと張れるんだ~。張るとこもないくらいの場所を想像してました。これから、そういうところが出てくるのかな?

テントサイトは、ソロ~3人ぐらいまでなら張れるところがいたるところにあります。
でも、私が張ったこの天狗の腰掛手前のサイトを過ぎるとあとは樹林帯じゃなくなるので、風が吹いたらちょいと心配ってかんじ。

> エスビット、と聞くと豆と羊肉の煮込み缶詰めを思い出します。
えっ、エスビットって缶詰も出してるんですか?
じゃなくて、エスビットの固形燃料を使ってそれをあっためたってことかな?
>「輝ブレンド袋飯」を試食させてくださいな。ニンニク少なめで(笑)
じゃ、ヘリでお送りしましょうか?(笑
>袋飯をヘリで… 願わくば山下公園とかで「はいア~ン」てな感じで(笑) でもってクチへもってかずにおでこにぶつけて拙者が「熱いよっ!」ってなリアクション(ダチョウ倶楽部お約束おでんネタ風)をして二重においしい、なんて夢のような…。

すいません、そのネタわかりません^^;
お笑い、嫌いなもんで。
ダチョウ倶楽部の人はドリカムも兼任してるんですよね。
あ~んは若いお嬢さんにやってもらってくださいな。
こんなおばちゃんにやってもらっても、子供の時病気で寝てて、おかんにおかゆ食べさせてもらったことを思い出すくらいでしょう。
てる (08/25)
mima (08/24)
てる (12/24)
KMD (12/24)
てる (11/25)